#1 恋恋風塵

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 ティータイムの会話の内容は、おもに互いの学校生活のことが中心となった。  幸生は隣のクラスのヘンリーに絆されて結局映画研に入ったこと、桜のほうは新たな環境での出来事。 「で、結局桜はどの部活にも入ってないのか」 「うん。なんか、そういうのにあんまり興味ないし」  ただ、互いの近況などを話そうにも、その程度のことはいつもLINEでやりとりしてる。時折は直接通話もする。なのに、こうして直に顔を合わせていると、互いのどこか余所余所しいさまが垣間見えてしまう。  加えて肝心の部分は、桜も幸生もどこかで曖昧に避けている。そんなどこか歯痒いやりとりが言葉の端々に滲み出る。  久しぶりの桜と幸生の再会は、なんだか妙にぎこちなかった。    気恥ずかしさでもない。照れくささとも違う。  この感情は何だろう、と幸生も桜も心の片隅で思った。  テーブルの上の菓子も片付き、ひと息吐くと、桜が言葉をかけた。 「幸生くん、このあとどうしよっか」 「映画……と言いたいトコだけど、きょうは少し桜の住んでるこのあたりを見てみたいな」 「宿は?」 「夜までにチェックインすれば大丈夫」  とは云え、あまり遠出もできそうにない。  一寸の思案の末、桜が提案した。 「じゃあ――‘だいぶっつぁん’に行ってみよっか」  相談の末、大仏と古城公園を見て回ることを決めた。     *   *   *
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