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シライはタクシーに乗り込んだ。
タクシーが発車する。
タクシーの振動は体に響いた。
シライは振動で身体がバラバラになってしまうのではないか、という猛烈な不安感に襲われた。
幸いホテルは警察署のすぐ近くだったので、シライはすぐにこの不安から解放された。
ホテルに着くと、西野が部屋まで案内してくれた。
とりあえず、生活必需品は西野が買い揃えてくれた。
「よっこらしょっと。とりあえず、これで一晩は過ごせそうですね。何かあったらいつでもいいのでお電話下さい。」
西野はそうゆうと、電話番号の書かれた紙を差し出した。
シライはゆっくりとうなづいて紙を受け取った。
「じゃあまたあした。」
そういって、西野は部屋から出て行った。
シライはありがとうございます、と声に出していえない代わりに、西野に向かって深々とお辞儀をした。
西野の顔に一瞬皮肉めいた笑みが浮かんだのに、シライは気づかなかった。
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