301人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつくと目の前に男性がいて、自分を覗きこんでいた。
警察官のようだ。
「お兄さん、大丈夫?立てる?」
声を出そうとしたが、声が出ない。
ただ、先ほどの痛みは嘘のように消えていた。
「お兄さん、どこから来たの?名前わかる?」
言葉がボンヤリと体のなかに入ってくる。
誰?、、、私は誰?
自分が誰なのか、まったく思い出せない。
とゆうか、ここがどこなのかもまったく思い出せない。
まったくなにも喋らないで横たわっている私が警察官には不審にうつったようだ。
私の腕をつかみ、強めの口調で言った。
「とりあえず、パトカーに乗ってもらいますねー。
話は署のほうで。」
そういわれても、私は立てない、そう思った。
全身にまるで力が入らない。
体が空気みたいだ。
しかし警察官にささえられると、案外すんなりたてた。
警察官にささえられながらゆっくりと歩く。
相変わらず、足には感触がまるでなかった。
「にーちゃんたっしゃでなー」
老人が大きなこえで言った。
その声は少し頭にひびいた。
その声を背に、私は警察署にむかうパトカーに乗り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!