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屋外階段の踊り場で目を覚ました主人公は、ここがどこで自分が誰のかを思い出す。
ここは地下アイドル小成田雪名とその母親がストーカー化したファン由比藤元伸に撲殺された裁判をしている裁判所であり、自分は明海花音という名の裁判員の一人だ。
ネットによるライブ中継という初の試みで始まった議論の流れはこうだった。凶器こそ発見されていないものの、現場である小成田の自宅に由比藤の着ていた服と同じ繊維が残されていた事に加え、執拗なストーカー行為により以前から警察に何度も接近禁止の警告を出されていたことなどから、裁判員達は由比藤が犯人であると確信し、裁判員の一人で死刑反対の資産家「野添キヌ」以外、極刑を望むが、明海は遺体の傷の状態からもう少し背が低く力の弱い人間のはずで、犯人は他に居る可能性があると指摘すると、裁判員たちの意見が揺れた。
休憩後、由比藤は極めて怪しい人物ではあるが、犯人と断定するには証拠が不足しているという結論に。そこへ由比藤が犯人と確信する裁判官「末岡太」によって新たな証拠が提示される。それは由比藤が鍵アカウントで作成していた、現実に起きた犯行と全く同じ手口の犯行手順が記載されていたブログだった。ネット依存の傾向がある裁判員「塗林健一」が同類の事件があったことを示し、これに明海も流されるような意見を述べたことで、議論はふりだしに戻る。
明海の言動に不審感を覚えたベテラン裁判官「砂地周」に、この場にいる明海花音と裁判員に選ばれた明海花音が別人であることを気付かれ、裏で問い詰められるも、アジアで少女売春をしている証拠を見せることで、黙らせることに成功。加えて自分の意図を告げる。この場にいる裁判員は偶然選ばれたのではなく意図的にこの場に集められた様々な事件の関係者で、彼らの犯行を証明するためにこの裁判に潜入したことを。果たして復讐は完遂されるのか、それとも…。
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