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窓に軽く触れ、我が故郷を眺めながら、僕は物思いにふけます。
──もしかするとあの時、カフ婆ちゃんはラフクル・ディアが死んでいる事に気づいていたのではないだろうか。だから、彼の居場所については僕に聞いてこなかったんじゃないか。
もし、今の夢が予知であるとすると──現実世界でもう一度、あの出来事が僕の身にふりかかるとすると、彼女にちゃんと真実を伝えるべきなのかな?それとも、黙っていた方が彼女にとっては幸せかも知れない。
結局、はっきりとした結論が出せないままに、僕をのせた宇宙船は大気圏に突入しました。僕は慌てて分厚いシートベルトを閉めて、重力に備えます。 宇宙船は減速しているものの、フワッと僕の内蔵を浮かすような気持ちの悪いGがかかり、僕の気分は少し悪くなってしまいました。
いつもなら平気なのになぁ、なんて事を考えている間に、船は地球の宇宙船ターミナルへと着陸しました。
宇宙船から降りた後の景色は、あの夢で見た光景と全く同じです。ということは、さっきの夢はやはり予知夢だったということでしょう。
僕はズボンのポケットにいれた鉄のペンダントを強く握り、あの夢の時よりも、遥かに重たい足取りでタクシー乗り場まで歩き始めました。
──予知は意識で変えれますよ。
緑色の星で僕がラフクルに述べたあの言葉が、今では自分自身に鋭く突き刺さっている気がしました。
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