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僕は小さくため息をつき、男の真似をして地面に寝転び、星夜空を一望しました。
あまねく煌めく星たち。地上から見れば、どれも似たり寄ったりに見えますが、宇宙に飛び出して中身を覗いてみると星の数ほどの冒険と、個々の普遍的価値観を有しています。そんな事を考えていると、ワクワクして胸が踊ってきました。
「自由意思なんて、あってないような物なのかもな」
男が思案深げに言います。
「予知は意思で変えれますよ」
僕がそう言うと、彼は独りごつように「そうだ......そうだな」と何度も頷きました。
「避けられないとしたらそれは運命だ」
よし、と彼は気概ある声を発し、後に続けます。
「君はもう、帰ってくれ」
「え」と驚きの声を漏らす僕。
「貴方はどうするんですか」
「俺は残るよ」
彼は痛みを抑えながら、上体を起こしました。彼の生気に溢れる表情を見ると、どこか空疎な──学芸会の演劇に使うような、ハリボテのお城を見ているみたいです。
「死ぬつもりですか」
僕は今にも泣き出しそうな、震えた声で尋ねました。なんとなく、僕が頼りにされていないようで悲しい気分になったのです。
彼は笑顔を崩さずに答えました。
「死なないさ」そして言葉をつぎます。
「この星で待ち合わせをしているんだ。俺は、待たないと」
「こんなところで?誰を待ってるんですか?」
しきりに質問を投げ掛ける僕。すると彼はしばらく沈黙した後に返答しました。
「父さん」
そう囁くように言うと、再び彼は話を続けます。
「君は──この星の事は知っているかい?」
「いえ」と僕。
事実、僕はこの星についてはうぐいす色の砂と、寂寥とした凸凹の荒野が地平線まで続いているということしか知りません。
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