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「先に行け!みんなが待ってる!」 弾丸の雨の中をくぐり抜けながら俺は走る。 身内の裏切り、己と他者に対する疑念との戦い。 “敵”の誘惑や甘言、辛すぎる現実との対峙。 それらをくぐり抜けて俺たちはここまできた。 後ろから同胞の叫び声が聞こえた。 ダメだったか… “敵”は俺たちの存在を許さない。 それは黒い“もや”のように知らず知らずのうちに周りを取り囲み 俺たちを消滅させる。 “敵”にとって俺たちの存在は目障りなのだ。 他の仲間は大丈夫だろうか? 俺は俺たちを信じ愛する者のために命を捧げると決めている。 たとえ一人になろうとも続けるべきなのだ。 一人でも俺たちの存在を信じている者のために このプレゼントを届けなければ! 「パパ、サンタさんから来たわ!」 クリスマスツリーの下にいろんなプレゼントが置かれている。 その中で際立っていたのは『サンタのプレゼント』 どういうシステムでこれが届くのかわからないが、 昔から12月25日に『サンタ』からプレゼントが来る。 この娘の両親の小さい頃もそうだった。 そしていつの間にか贈られてこなくなる。 『サンタ』がどんな存在かは知らない。 “それを疑ってはいけない”と彼らは思いこんでいたから… あたし見ちゃった。 夜トイレで起きた時。ツリーの下に誰かいたの。 すぐ“サンタさんだ!”ってわかった。 白い袋からプレゼントを出してたし。 すぐにお礼を言おうとしたけどとっても疲れてたっぽい。 お家に帰ってきたパパみたいに。 その時ママが言ってたのを思い出した。 「パパは疲れてるからそっとしてあげて」って。 だからあたし「ありがとう」って心の中でお祈りしたわ。 サンタさんはたくさんの子供にプレゼントを届ける。 くたくたになるのは当たり前よ。 だから来年のクリスマスは お手紙と栄養ドリンクをツリーの下に置いておく。 サンタさんに『お仕事たいへんね。ありがとう』って書くの。 夜遅く帰ってくるパパへのお手紙を書くみたいに。 次のクリスマスが楽しみ。 ちゃんと届くかな?サンタさんに。
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