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立ち上がった直輝のシャツの裾を掴んでまくり上げようとすると、その手をやんわりと止められた。
「おい、直輝っ」
「万葉」
耳元で囁かれる声が、いつもと違う熱を帯びている。
「俺はいいんだけど、万葉はここでこのまま続けて、いいのか」
押し殺したような声には、妙な迫力があった。直輝は万葉の背中をドアに押し当てるようにして、ぐい、と身体を寄せてくる。
「っ」
腰に何かが当たった。直輝のそこが硬く張り詰めているのがわかって、万葉は焦る。
触れ合った箇所から伝わる欲情が、万葉の身体を煽っていく。腹の下で熱が一気に膨れ上がった気がした。
「万葉」
「な、に」
「靴、脱いで」
別に何ひとついやらしいことを言われたわけではないのに、「脱いで」の響きに身体がぞくりと反応してしまう。
息を乱しながら、革のスニーカーを脱ぎ捨てる。直輝がもどかしそうにエンジニアブーツから足を引き抜く。
揃って足をもつれさせるようにして、奥の部屋に向かった。
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