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学部はまるで違うが。どこで知り合ったのだろう。直輝はサークルには入っていない。
思いきって訊いてみる。
「あのさ。俺たち、友達だった?」
一瞬、奇妙な間があった。
「多分」
中途半端な肯定。
それが意味するものはなんだろう。読みきれない行間が歯がゆい。
「じゃあな」
直輝はくるりと背を向ける。
「えっ。ヒント、それだけ?」
すがるように声をかけると、一旦足を止めて振り向いた。
「横断歩道、気を付けろよ」
ぼそりとそう付け加え、今度こそ直輝は歩き去る。
その肩幅の広い後姿をしばらくじっと見送っていたが、直輝はもう、万葉の方を振り返ることはなかった。
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