§1

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 学部はまるで違うが。どこで知り合ったのだろう。直輝はサークルには入っていない。  思いきって訊いてみる。 「あのさ。俺たち、友達だった?」  一瞬、奇妙な間があった。 「多分」  中途半端な肯定。  それが意味するものはなんだろう。読みきれない行間が歯がゆい。 「じゃあな」  直輝はくるりと背を向ける。 「えっ。ヒント、それだけ?」  すがるように声をかけると、一旦足を止めて振り向いた。 「横断歩道、気を付けろよ」  ぼそりとそう付け加え、今度こそ直輝は歩き去る。  その肩幅の広い後姿をしばらくじっと見送っていたが、直輝はもう、万葉の方を振り返ることはなかった。
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