§12

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 ファスナーの隙間から直輝の長い指が滑り込んでくる。既に(きざ)し始めていたものを探り当てられ、下着の上からゆっくりと上下に擦られる。 「あ……なお、き……っ」  直輝の指にそこをまさぐられていると思うと、ほんのわずかな動きもやりすごせない。 「やっ……ぁ、あ……」  仰け反らせた喉から、自分でも恥ずかしくなるほど甘ったるい声が漏れる。くすぐるような優しい愛撫に、もっと強い刺激を求めて腰が揺れてしまう。  下着と素肌の間に滑り込んだ掌に尻をきゅっと掴まれて、脱がされるというより服から引っ張り出された。 「万葉。腰、細すぎ」 「うる、さい……」  直輝は万葉の腰を抱えたまま、その上に屈み込む。 「……え」  下腹部で不埒な熱をため込んでいたそこを、いきなり咥えられた。 「ひぁっ……ん……っ」  散々焦らされたそこに熱い舌を這わされ、濡れた唇でしごかれ、万葉の欲望はあっという間に追い詰められていく。 「ぁ……やめろ……だめっ」  すぐにも達してしまいそうになって、慌てて直輝の頭をもぎ離す。熱く濡れた口腔から放出された屹立が、ふるり、と震えた。 「やめろって……お前、いきなりっ……」  口調だけは抗議だが、声がこんなに甘く揺れてしまっては意味がない。 「いきなりじゃない」 「直輝……?」 「ずっと、万葉としたいと思ってた」     
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