§12

7/9
前へ
/76ページ
次へ
 そんなの、万葉だってそうだ。万葉のそれは瀬戸際まで(たかぶ)らされ、直輝に突き入れられるたびに、先端からぽたり、ぽたりと滴がシーツの上に落ちる。まだだめだ、とこらえようとすればするほど、強い快感がじりじりと神経を焙っていく。  身体の奥に埋め込まれた火種が今にも爆発しそうだ。自分で触れて達してしまいたいが、うつ伏せの上体を両肘で支えているので、それもままならない。 「直輝っ……いき、たい……」  仕方なく、涙声で懇願した。 「ああ……万葉……」  直輝の手が前を辿り、先走りの滴る軸をしごく。その手に赦されて、万葉は感覚を解き放った。 「あ、あ、あああっ……なお、き……」  びくん、びくんと間欠的に精が吐き出されるのに合わせて、直輝を呑み込んでいる箇所が、絞るようにきつく収縮する。 「く、っ……」  直輝は万葉の腰骨を両手で掴むと、一際強く引き寄せた。 「かず、はっ……」  押し殺すような声とともに、直輝が中で爆ぜたのが感じられた。繋がっているところから直輝の絶頂が感じられて、万葉を恍惚とさせる。 「はっ、は、ぁ……」  中からそろりと直輝が出ていく。芯を抜き取られたみたいに脱力してしまって、そのままベッドに倒れ伏した。  直輝も大きく息を乱したまま、隣に身体を沿わせるように横たわる。 「万葉」 「……ん」 「戻ってきてくれて、ありがとう」  それは俺の台詞だ、とまたしても思う。     
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加