§5

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 そのまま直輝と一緒にカフェを出る。  自分ももう帰るところだから、と万葉が言うと、直輝はわざわざ大学の正門の方へと向かった。隣接する大学病院へはキャンパスの西門を出た方が近いのだが、途中まで一緒に行こうということらしい。  目の前に、直輝の背中がある。  モデルみたいな体型だな、などと改めて思う。痩身に見えるけれど、後ろから見ると背中が広い。肩の厚みがしっかりとあるので、フード付きのブラックのレザーブルゾンがよく似合う。腰回りは引き締まっていて、細身のジーンズがすっきりと着映えする。  薄くて細いだけの自分の体型とは随分違う。 「お前……どこか、身体悪いの?」  病院には患者として通院をしているのだろうか。そういえば、記憶を失くした万葉が初めて言葉を交わしたあのときも病院の入口へ向かって歩き去っていった。  万葉より一回り大きな体格だし、見たところ怪我などをしている様子はないが、人が健康かどうかは見た目では決して判断できない。  自分がその立場になるまでは、万葉もそれを実感できなかった。     
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