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「体の小さいユンジェに言われたくはないな」
ユンジェは口を曲げる。気にしていることを。
どうすれば大きくなれるのだろう。ティエンも細身であるが身長はある方だし、目の前に座っている、カグムとハオも中々に背丈がある。
「なあなあ。どうしたら、大きくなれるんだ。飯を食べる以外でなんか無いの? 俺、どうせなら大きくなりたい。そしたら、ティエンをもっと守れる気がする」
「ユンジェ。お前はそのままで良いさ。小さい方が、私は可愛いと思う」
「そんなこと言って。本当はユンジェに背丈を超えられたくないでしょう」
カグムの揶揄により、瞬く間にその場の空気が凍てつく。
ユンジェとハオは視線を合わせた。二人は目は会話する――どうしたらいい? 王子の機嫌を直せ、それが先決だ。分かった、そうする。
ユンジェは不機嫌になるティエンに、「俺はティエンの懐剣なんだし。背丈があった方が良くないか?」と尋ねる。小さいままだと、見栄えも悪そうだ。
そう主張すると、ティエンは真っ向から否定した。
「懐剣は他の剣より小さいだろう? 持ち運びも便利だ。そう思うと、ユンジェは小さいままの方が良いよ」
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