30人が本棚に入れています
本棚に追加
まあ、カグムは控えめにいって良い男だと思う。ティエンとの溝がなければ、素直に良い奴だ。
「そして、お時間があれば、一緒にお話しませんかって聞いて来てほしいの」
「ええ? カグムにそんなことまで聞くの?」
それは、ぜひとも自分達で試みてほしいのだが。
おおよそ、彼は良しとしないだろう。カグムは任務を優先する男なので、明日のことを考え、今宵は個室で体を休ませるはずだ。
それとなく断られることを示唆してやると、姉妹は落胆したように肩を落とす。
「とても男前で格好良いのに。やっぱり、ああいう人は簡単に許してくれなさそうね。じゃあ、綺麗なお兄さんや不機嫌なお兄さんはどうかな? お話してくれない?」
「二人とも無理と思う。ティエンは極度の人見知りだし、ハオはそういうの嫌いじゃないかな。たぶん……あっ、もしティエンが話しても良いって言えば、カグムも来てくれるんじゃないかな」
まあ、あくまで見張りとして、だろうが。
「本当? なら」
「ああでも。さっきも言ったけど、ティエンは人見知りが激しいから、無理だと思うよ。俺の傍を離れるとも思えないし」
「じゃあ、坊や。私達とお話しましょう。ね?」
「俺ぇ?」
「そしたらお兄さん達も、坊やの付き添いで来てくれるんじゃないかしら。だから、坊や」
最初のコメントを投稿しよう!