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ティエンを褒めてくれるのは、ユンジェだけだ。
叱ってくれるのも、物を教えてくれるのも、ユンジェだけ。そして、「ティエンならできる」と励ましてくれるのもユンジェだけだ。
生まれてこの方、表向きお世辞ばかり、水面下では陰口ばかりの人生を送ってきたティエンにとって、褒められたり、励まされたり、物を教わったりすることは、とても生きている実感が湧く。
とりわけ褒められることは、大好きだ。自分を認めてくれる気がして。
初めてユンジェに褒められたのは、農民として平和に暮らしていた時。芋の収穫を教えてもらい、見よう見まねで仕事に励んでいると、子どもが大層褒めてくれた。
「最初は一個取るのに、すごく時間が掛かっていたのに、もう三つも取れてる。早くなったな。ティエン、やればできるじゃん」
印象的だったのは、初めてティエンが芋粥を作り、それをユンジェに出した時だ。
この時は本当に喜んでくれて、「ティエン。味付け上手い」と、言って勢いよく食べてくれた。それはそれは、豪快な食べっぷり。お世辞ではない、喜ばれ方だった。
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