【褒められたいティエン】

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「ティエンは獣を捌くことだって、衣を縫うことだって、飯を作ることだってできる。それは俺が教えて、ティエンが一生懸命にやったからだよ。ティエン、真面目に取り組んでくれるし。教えたら何でもできるようになったよ。農民の俺には、王族の品位とかなんとか知らないけど、何もできない王子より、やればできる王子の方が俺、絶対に良いと思う」  できる王子の方が格好良い。  ユンジェはカグムにハッキリ物申すと、ティエンに「ありがとうな」と言って、隣に胡坐を掻いて座った。枝の皮削ぎを手伝ってくれるようだ。 「ティエン。後で、外衣の穴を縫ってくれるか? 俺、草縄を作りたくてさ。それにお前は丁寧だから、俺より穴を塞ぐのが上手いし」  そう言われると、とても嬉しくなる。 「いいよ。任せなさい。上手にできたら、うんっと褒めておくれ」 「ティエンが上手いこと知ってるから、褒め倒してやるって。頼りにしているよ」  調子に乗ってしまいそうだ。  緩む頬をそのままに、枝の皮を手早く削いでいく。ティエンの後ろでは、兵達が何やら揉めるような声が聞こえたものの、綺麗に無視した。
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