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「志那知ってた? 明日やであの星見えんの」
そう嬉しそうに言うのは、孤児だったころの幼馴染、大蔵明石。
「ふ~ん」
そう答えるのは、明石の弟分、大津志那。
「なんやその声は。滅多にない事なんやで、これ」
「ハイハイ」
志那は宇宙オタクの明石に呆れていた。
小さい頃から星がどうのこうのと志那に言って来るのだ。
明石の言う星とは、鋼鉄星と言い、2年前に突如発見された星である。
名の由来は、星全体が鉄でできていることから。
志那は明石とは正反対で、おとなしい方。
明石はとにかく元気の塊みたいな感じ。
しかし、こんなでこぼこコンビが世界を巻き込む事件に参加することになろうとは。
「そう言えば、1週間後の土曜日。俺らが引き取られて16年やで」
明石がボソッとそう呟いたので志那は、「そうだな」と答える。
志那と明石は1歳の時に、大阪の剣術道場に引き取られた。
元の親の事なんて覚えていないし、育ての親が本当の親だと思っている。
「何かするか」
志那は石を蹴りながらそう言う。
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