山田宗太郎

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 目の前の美女と父に、どんな繋がりがあるのか全く想像つかない。  年齢もそうだが、持つ空気が違いすぎる。  だけど、ここ最近の両親の行動の不自然さを思うと、全てを否定しきれなかった。 「それが、私ね」  そこで美女がぽつりと呟いた。  まるで思考を読まれたかのようなタイミングに、宗太郎はぶわっと顔が赤くなるのを感じた。  自分の行動や思考を思うと、彼女の顔をまともに見ることができない。  ただ、その声はひどく落ち着いているように思えた。揶揄(やゆ)することもなく、(とが)めている感じもない。  もしかすると、付けていたことも始めからばれていたのかも知れない。だから、玄関で声をかけられたのだ。
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