渡り廊下の港町

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 教室棟と部室棟を繋ぐ渡り廊下に、数日前から大きな絵が飾られている。  どこかヨーロッパ辺りだろうか、今にも海風が吹いて汽笛や海鳥の鳴き声が聞こえてきそうな、美しくてどこか懐かしさをも感じさせる港町の風景画。『いつか住む街』というタイトルが付いている。  描いたのはクラスメイトの市ヶ谷蓮。この学校でおそらく今一番の有名人。  彼は先月、なんだかという有名らしい絵画の国際コンクールで優勝した。弱冠十七歳で異例の快挙だと当時テレビや新聞の取材が引っきりなしに来て、校内はしばらく浮ついた空気に包まれていた。  さすがに今では落ち着いてきているけど、彼自身の人気は今も一向に衰えていない。
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