お年玉

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女性はふたつのブレスレットを小さな紙と一緒に入れ、それぞれに渡した。 ふたりは会計を済ませ、テントから出た。 ふたりはさっそくブレスレットを付けて太陽にかざした。 「綺麗だね」 「うん、綺麗」 満里奈はブレスレットと一緒に入ってた紙を取り出して読む。 「えーっと、『このブレスレットはあなたに多くの幸福をさずけてくれるでしょう』だって!素敵」 絵里奈も紙を読む。満里奈が読み上げた文章には続きがあった。どうやら満里奈は気づいていないらしい。 【出来るだけ他の人には触れさせないでください。万が一他の人があなたのブレスレットを付けた場合、呪いが……】 文字が薄れて読めなくなっている。 (呪い!?) ちらりと満里奈を見ると嬉しそうにブレスレットを眺めていて、とてもじゃないが言い出せない雰囲気だった。 (まぁ、ずっと身につけてればいいしね……) ふたりはショッピングモール内に戻り、あちこち見て回った。 「満里奈、トイレ行きたい」 「私も」 ふたりは近くのトイレへ向かった。 少しわかりにくい場所にあるからか、幸いトイレは空いていた。 ほぼ同時に出てきたふたりは隣同士で手を洗う。 「絵里奈、ハンカチ持ってる?」 「あ、忘れた」 ふたりは水を切るのにパッパッと手を下向きに振った。 「「あ」」 ふたりのブレスレットは同時に近くに落ち、どっちがどっちだか分からなくなってしまった。 「あー……。でも同じデザインだしね」 満里奈はブレスレットを拾って付けようとする。 「待って!!!」 絵里奈は必死に止めた。 満里奈はキョトンとしてから呆れたようにため息をついた。 「なぁに?どっちも一緒でしょ?」 「一緒だけど違うの!待ってて」 絵里奈はブレスレットをふたつ拾い上げて洗うと、ペーパータオルで包んだ。 「とりあえずこっち!」 「なに?」 ふたりはトイレの近くにあるベンチに移動した。 「ねー、返してよ」 満里奈は口を尖らせる。 「満里奈、さっきの紙まだ持ってる?」
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