21日

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話は単純で、私は婚期を逃していた。 雪野彩香(ゆきのあやか)。32歳、独身、彼氏無し。OL、借家住まい。 私のプロフィールは、ざっとこんなもの。 お見合いや、その他の結婚活動をしようにも、これと言ったアピールポイントを持っていない。 職場恋愛も一度は考えたけれど、今はもう無理だ。 入社したての頃は上司や同僚からアプローチされたが、20代後半を過ぎた頃から誘いは急に減り、30代を越えると全く誘われなくなった。 別にそれはそれで構わないのだけれど、やっぱり寂しい。というか、虚しい。 私の取り柄は若さしかなかったのか?積み重ねてきたものは無かったのか? 自問自答も殆どしなくなっている。 それでも、この季節になると意識せざるを得ない。 この季節とは言うまでもなく、 12月24日・12月25日、聖なる夜、クリスマス・イブとクリスマス。 である。 その日が近付くと、段々と憂鬱になっていく。 バレンタイン・デイは難無く乗り切れる。 バレンタイン・デイは女性が攻め手側で、圧倒的に有利なのだ。 誰にもチョコを渡さなくても、それは好きな人がいないからですよ、と言える。 女性同士でチョコを交換する事も出来るし、処世術としての義理チョコという逃げ道も用意されていた。 雛祭りには母親から電話がかかってくるが、都市部ではあまり意識されていない。 だけれど、クリスマスにはいかなる逃げ道も用意されていないのだ。 一人で過ごすクリスマスは32歳の肩には重すぎる。 今日はまだ21日。それでも憂鬱は私に纏わり付く。
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