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店長がまぁまぁと二人をなだめた。
「三田村さ、そんな感じだと、ここ辞めても、他のバイトも出来ないだろ? おまえらみたいな若いやつは元気がとりえみたいなもんだ。何が嫌なの?」
店長が優しく諭すように話しかける。
「……うるさいから」
「何が?」
「俺が話してたり笑ったりすると、女が騒ぐ」
颯太と店長は顏を見合わせた。聞き間違いかと思ったが、そうじゃなかったらしい。
「イケメンの悩みか。颯太には無縁だな」
「そりゃ、俺が笑ったところで女は静かですよ! シーンとしてますよ!」
「あ、でも颯太は、おばさんやおじさんたちのアイドルだよな。おまえ、どっちかっていうと居酒屋向き」
「俺の話はいいんですって!」
軽快な店長とのやりとりに、三田村は聞き入っていた。
「まぁ、三田村の気持ちはわかるけどな。俺も若いときそうだったな。嫁さんが俺の華麗なオーダーさばきに見とれたものだぜ」
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