第一章

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 店長がまぁまぁと二人をなだめた。 「三田村さ、そんな感じだと、ここ辞めても、他のバイトも出来ないだろ? おまえらみたいな若いやつは元気がとりえみたいなもんだ。何が嫌なの?」  店長が優しく諭すように話しかける。 「……うるさいから」 「何が?」 「俺が話してたり笑ったりすると、女が騒ぐ」  颯太と店長は顏を見合わせた。聞き間違いかと思ったが、そうじゃなかったらしい。 「イケメンの悩みか。颯太には無縁だな」 「そりゃ、俺が笑ったところで女は静かですよ! シーンとしてますよ!」 「あ、でも颯太は、おばさんやおじさんたちのアイドルだよな。おまえ、どっちかっていうと居酒屋向き」 「俺の話はいいんですって!」  軽快な店長とのやりとりに、三田村は聞き入っていた。 「まぁ、三田村の気持ちはわかるけどな。俺も若いときそうだったな。嫁さんが俺の華麗なオーダーさばきに見とれたものだぜ」
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