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「颯太」
夜勤の間、仕込みをしているところに、店長がキッチンに来た。今夜も結局、颯太と三田村の組み合わせで、三田村との接触は、あまり減っている気がしない。
「おまえさ、三田村と早く仲直りしろよ」
「は? 俺ら、いつも通りですけど」
「んなわけないだろ。俺だけじゃないぞ、みんな気づいてるけど、言わないだけだぞ」
「何もないですって……」
正直、そんなことを言われると思っていなかった。無視しているわけでも、意識して口をきかないわけでもない。仕事にも影響はしていないという自信もある。
「ていうか、ダメージ受けてるのは、あっちのほうかな。今日の恒星ちゃん、なんか上の空」
「そーっすか?」
あまり気にしていなかった。いや、どちらかといえば三田村のことは、視界に入らないようにしていた、というのが正解だ。
「おまえ、あいつの教育係でしょ、なんとかしてよ」
「あいつ、立派に育ってるから、教育係いらなくないですか?」
「教育係っていう口実使っていいから、様子見てきて。今、あいつ休憩中だから」
「えー……」
店長の言葉は、気遣いというよりもお節介に近い。颯太は、おもいっきり渋い顔をしながら控室に向かった。
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