892人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「ひゃー、疲れた!」
倒れ込むように座り、目の前のテーブルにぺたりと伏した。三田村は、初日の新人とはいえ、予想以上に使えなかった。ファミレスで大事な「いらっしゃいませ」のかけ声も小さく、その上、笑顔もない。片づけや料理を運ぶのは率先してやってくれるが、あまりにも愛想なく黙々とやるので、かえって目立ってしまう。試しにやらせてみたオーダーも、客の顔をあまり見ようとしないし、あいかわらず声も小さい。
そして、そのフォローは、すべて颯太がやった。声も大きく、愛想もいい颯太が元気よく謝罪するので客も大目に見てくれる。しかし、こんなフォローがずっと続くのは正直、勘弁だ。
「いやぁ、ご苦労ご苦労」
店長がへらへら笑いながら、控室に入ってきた。ちなみに三田村が働いている間、店長は、すべてを颯太に任せキッチンに引っ込んでいた。
「ご苦労どころじゃないっすよ……」
「だろうな。俺ならキレてる。本当におまえでよかったよ」
最初のコメントを投稿しよう!