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山中はまるで野獣のような凄まじい咆哮と共に息を荒げ、肩を大きく揺らしている。
「お、おい、どうしたんだよ」
その隣にいた別の生徒が恐る恐るそう尋ねながら右手を翳すと、
「黙れェェ!!」
それに対し山中はバッと腕を振るい、直後に何かが宙を舞って教室の後ろでドサッと落ちた。
「え………?」
一瞬の事で何が起きたのかが誰もわからないが、ほんの数秒の間を置いて誰もがそれを理解する。
「ぁ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
心配して手を翳した隣の生徒の右肘から先が無くなっており、宙を舞って教室の後ろに落ちていたのはその生徒の右腕だった。
落ちた右腕は指先がピクピクと微かに痙攣しており、その右腕を失った切り口からは夥しい鮮血が噴き出す。
それにより教室中がざわつき出し、悲鳴が飛び交う中、その腕を切断したと思われる山中はまた凄まじい咆哮と共に天を仰いだ。
「アアアアァアァァァァ!!」
その姿はとてもただの男子高校生のソレとは違い、露出した両腕は肉付きが良く、その指先もまた猛獣のように鋭い爪が蓄えられていた。
そして右手のその爪には返り血と思われる紅い滴がベットリと付着しており、その光景に誰もが最悪の状況を想像する。
"何……何この状況…!?"
玲奈もまたやはり戸惑いと驚きを隠せない。
ただのクラスメートだとは言え、中学時代からよく知る人物の異変…理解が追い付かない。
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