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ー二年前。
背景には綺麗な海が見える広大なパーク。
なんといっても名物は、園内からはみ出して海の上を通過するジェットコースターであり、そのスリルは堪らない。
当時中学生だった玲奈は、中学最後の思い出としてクラスメート全員とそこへ訪れていた。
「これで皆が揃うのも最後だもんね、思い出いっぱい作って帰ろ♪」
中学を卒業すると皆はバラバラの道へと進み、一部は既に就職も内定している。
玲奈は最後の思い出作りを心底楽しみ、それは一生の思い出になると信じて疑わなかった。
しかし、事件は突然起こった。
「何!?何が起きたの!?」
突然何処かから凄まじい爆発音が園内に響き渡り、誰もがその音の方へ一斉に目を向ける。
その方向は、このパークの名物ジェットコースターとは丁度真逆の反対側の園の外側に位置する、病院のような白い施設のようだった。
その一室内で何かしらの事故でも起こったのか、窓からは煙が立ち上がり、耳障りな警報のようなものが何処にいても嫌でも耳に届く。
「うるさいなー…早く鳴り止まないかな」
この時は、ただ付近でちょっとした小火騒ぎがあった程度の認識しか無く、その数時間後にはいつの間にかその事も忘れてまた思い出作りを再開し、楽しんでいた。
それが"悲劇"と過酷な"運命"、そして新たな"出会い"を生むきっかけとなるとは、この時は誰も夢にも思っていなかったー。
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