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"どうしてあの人が……!?"
玲奈は状況が理解出来ずに混乱した。
確かに自身が目撃した光景は、クラスメートの山中が突然バーサークと化して他のクラスメートを襲い始め、最終的には八乙女に鎮められる。
それによりパニック状態に陥った玲奈は過呼吸になり、両手で頭を抱え込んで踞り、
「どうしたの玲奈!大丈夫!?」
それを心配した母親がすかさずそこへ駆け寄った。
その時玲奈の脳裏では、知らない誰かの声が反響して何度も語り掛けてくる。
"全部壊しちゃえ…"
「…ッ!!」
その瞬間、ドクンと鼓動が大きく鳴った。
同時に両目が血のように紅く染まり、そのまた次の瞬間、
「玲奈ッッ!!」
父親の叫びにより、ハッと我に帰る。
何が起きたのかはわからないが、目前に広がる壮絶な光景に、玲奈はまた驚きを隠せない。
「…!!…ッ!!」
母親だと思われる首が無い遺体と、その切れ口から噴き出した夥しい量の鮮血、そしてそれにより部屋中真っ赤に染まった悲惨な光景。
「玲奈…お前が、お前が母さんを殺したのか!お前は"化け物"だ!!」
「………ッ」
いつからか、親にさえ気を許さなくなってしまっていた。
高校に入ってちょっとした嫌がらせを受けるようになったと相談しても、"暫く我慢すればすぐに飽きて無くなる"と言って満足に話を聞いてもらえなかったり、高熱を出して学校を休んだ日も、両親はどちらも構わず仕事へ行ってしまったり。
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