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呆然と時だけが流れ、気付けば朝になっていたー。
窓から挿す光が部屋中を照らすが、それは部屋の中の惨状を改めて曝す残酷な光にさえ思える。
それからまた時は流れ徐々に明るみが増す中、玲奈は覚束無い足取りで漸くゆっくりと立ち上がった。
その顔に表情は無く、終始落ち着いた様子でゆっくりと浴場へ向かいながら返り血を浴びた制服を脱ぎ捨て、静かにシャワーの蛇口を捻る。
"…………"
血でベトベトになった全身を洗い流しながら、その脳裏にはまたも八乙女の笑顔が過った。
『止まり木は見付かったかい?』
"………"
シャワーを浴びながら不意に涙が溢れ出し、止まらなくなる。
"私、人間じゃなくなったの…?バーサークって何…?"
自身を襲った現状も、その原因となったバーサークも、玲奈にとってはわからない事ばかりで、戸惑いを隠せない。
八乙女は、バーサークを"獣"と呼んでいた。
やはりその言葉の意味さえわからない。
八乙女が、そのバーサークを全て必ず"狩る"といった理由も、玲奈には知る由も無い。
"わからない…わからない…私、どうしたらいいの……?"
頭を抱えて考えてもやはり何もわからず、結局わからないまま玲奈は予備の制服に着替えて家を出た。
普段なら学校へ行く時間帯だが、もう学校へ行けという親もいない為、正直もう行こうとも思わなかったのだが、無意識に足は駅へと向かう。
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