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八乙女は説明を続けた。
そのウィルスは人間にのみ空気感染するのだが、空気中では寿命が短くすぐに死滅してしまう為、外に放たれたとしてもそれ程遠くまでは感染しないらしい。
そこまでの説明を聞いて、玲奈は幾つかの疑問を抱いた。
自身はそのウィルスにいつ感染してしまったのか、その研究者はどうしてそんなウィルスの研究をしていたのか、そのウィルスを八乙女はどうして知っているのか…どれも疑問だった。
そんな時、八乙女は突然話題を変える。
「ところで…学校はどうした?それ制服だろ?」
"……ッ!"
不意討ちの問いに玲奈は驚きを隠せず、"学校へ行け"と叱られてしまうんじゃないかと一気に不安感に駆られるが、
「たまには気晴らしも必要か……何処か遊びに行くか?」
"………!"
八乙女は意外にもフッと柔らかく微笑みを浮かべてそう提案し、それに対し玲奈もコクリと深く頷いた。
「決まりだな」
そう言うと八乙女は、すかさず玲奈の手を引いて走り出す。
そして辿り着いた場所は、近くのゲームセンターだった。
「ほらこれ、取れそうか?」
"どうかな…"
二人は早速、入口付近にあったクレーンゲームに目が止まり、お眼鏡に叶う景品の銀のブレスレットを見付けてすかさず小銭を入れて挑戦する。
しかし、二人が順番に交代してやってみてもなかなか上手くいかない。
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