ー1stー dark or real

3/11
前へ
/110ページ
次へ
それから二年の時が流れた。 玲奈は無事に志望校に合格し、順調に進学するが、そこで待ち受けていた新たな世界は思い描いた理想とはまるで違う現実だった。 『努力は必ず報われます』 『人間は皆、誰もが平等です』 『個性は大事に、自由です』 無気力な担任教師による上辺だけの綺麗事と作り笑顔、更に授業中に時折見せる疲れ果てた表情に、玲奈はうんざりしていた。 クラスには中学の時のように仲良しの友達はおらず、イジメとまではいかないもののちょっとした嫌がらせを時々受ける事もあり、最初の内は受験ノイローゼやストレス等の憂さ晴らしかと思って大して気にもしていなかったが、それも一年以上と続くといい加減嫌気が挿してくる。 それらを教師に相談してみても、帰ってくる答えは大方決まっていた。 『友達になりなさい』 『部活にでも入ってスポーツをやりなさい』 『心を開きなさい』 まるで向き合ってくれない愛のない言葉に対し、玲奈はもう何を思う事も無くなってしまっていた。 髪は無造作にボサボサ、常に俯きがちで表情は暗く、スカートは長い。 少し前までの表情豊かでお洒落にも気を使う玲奈の姿は、もうそこには無かった。 あの頃の明るかった玲奈は、新たな環境に"殺された"と言っても過言ではなかった。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加