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「……何かないかなー。2人きりで思い出を作れて、刃の気持ちを知れた上で思いを伝えられそうな、そんな都合の良いイベントみたいなの」
あまりに無茶なことを言っている自覚はある。でも、そのくらい都合の良いイベントがない限り今の現状を打開する方法を思い付けない。
「……そうだ、流斗に相談すれば!」
流斗は昔から光の理解者であり、相談役を買ってくれている。今回も相談すればきっと良い案を出してくれるに違いない。
光は急いでスマホを取り出して操作。流斗の番号を出したところで、
「……いや、毎回毎回頼るのも違うわよね」
通話ボタンを押さずにスマホを閉じた。思えば流斗には相談してばっかりだったし、愚痴も聞いてもらったりしてなにも返せていない。今回くらいは自分でどうにかできなければ。
「……とは言ってもなー。どうしよう」
そう困り果ててチラッと横を見たときだった。
「……!」
思わず光は2度見。急いで駆け寄ってその見つけたものをマジマジと見つめる。
それは壁に貼ってあった1枚のポスター。
「……こ、これよ。そうよ、これがあったじゃない!」
光が見つけたその1枚のポスターは、
「お、お姉ちゃん、もう、走らなくても……」
「ご、ごめんごめん。それより亮、さっきの話だけど、私に1つ案があるの」
「……え?」
「ほら、これよこれ!」
奇しくも美瑛が指差したショッピングモールに張り巡らされたポスター、
「……これだ!」
蓮の家に届いていたチラシ、そして、
「……勝負だ、刃。ここで、俺達の決着をつけようじゃないか」
流斗が刃に対して鞄から取り出して提示したものと全て一緒だった。
「「「「桜ヶ峰町恒例、『プレゼントギフトパーティー』!」」」」
ここに、新たな戦いの火蓋が切って落とされた。
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