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「れ、蓮もこっちじゃないわよね。どうしたの?」
この前の一件以来、光と亮はなんとなく蓮と気まずい。それもそうだろう、なにせ2人にとって蓮は火野刃にキスをした人物。どうしたって笑顔もひきつる。
「……私は、刃に用事があってきたの」
「「……!」」
2人とも感づく。何故なら蓮の手に握られていたチラシには見覚えがあったから。
「へ、へぇ……も、もしかして、蓮はPGPに刃を誘うつもりとか?」
「うん、そう」
堂々と宣言され、グッと光と亮は苦虫をかみつぶしたような顔で一歩引く。
牽制しようとした光の目論見は見事に失敗に終わる。それはそうだ、蓮はキスまでしている。こんなことで臆するわけはなかった。
「……まだ、返事ももらってなかったし。それもついでに」
ついでと言えるようなものなのだろうか。とにかくこのまま蓮を行かせるわけにはいかない。光と亮が止めようとしたとき、
「……あれ? なにしてんだ3人ともこんなとこで」
「「「ッ!?」」」
それは話の渦中にある人物、火野刃だった。
「アーイ!」
一緒に出てきた藍は一目散に光のもとに走りよる。
「お、おはよう藍。よく眠れた?」
「アーイ!」
「まぁちょうど良かった。光と蓮に言いたいことがあってさ」
「「「……え?」」」
そう言うと刃は光の前まで歩み寄り、その手に持ったものを見せる。
「こ、これって……!」
「そ、PGP。知ってるだろ?」
光が後ろ手に隠したチラシと全く同じものだった。
「そ、そうね。確かにこれって私たちの年齢から参加可能だったわね……」
白々しく明後日の方向を見ながらそう言う光に対して、
「あぁ、俺と一緒にこれに出てくれ。光」
刃は至って普通に言ってのけた。
「「「……え!?」」」
思わず女子3人の驚嘆の声が重なる。
「え……そんな驚くことか?」
「え……だって、これはその……えっと……」
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