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「「……!」」
思わず光も亮も気圧される。蓮の真っ直ぐで純粋な思い。刃もそれはわかってる。
「……悪い、蓮。今回は俺は光と参加する。だから、蓮とは組めない」
「どうして!? 光は言った、『組んでくれる人がいないならやってもいい』って! 私は他の人じゃダメだもん、刃じゃなきゃダメだもん! だって、だって私は──」
「……わかってる。蓮の気持ちには、この戦いが終わったら必ず答えるよ。でも、それより先にけりを付けなきゃいけないことがある。だから、それまで待ってくれないか?」
「……それって、光を選ぶってこと?」
「「……っ!?」」
緊迫した空気が辺りに漂う。まるでこの寒さに時間が凍ったかのように時間が過ぎて、しばらくして刃は真剣な眼差しで蓮に返す。
「……それはまだ言えない。でも、必ずPGPが終わったら蓮に告白の返事はする」
「……わかった。でも、覚えておいてね、刃」
蓮はくるりと背を向けて歩きだし、全員に背を向けたまま。
「……私、負けないよ」
そう宣誓して走り去っていった。
「……本当に、なんで俺なんだろうな」
「……て、ていうかあんた、い、いつまで私の手を握ってんのよ!? 離しなさいってばぁ!」
手をブンブンと振って振り払おうとする光。その一連の流れを、ただ1人見つめる者。
「……っ!(ギリッ)」
何も言えなかった三条亮は唇を噛み締めて、後ろ手に隠したチラシを握りつぶしたのだった。
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