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「あは、あなた達も美味しいかな?」
「何を──」
と、カナはそいつを見失う。一体どこに──
「じゃあ、イタダキマス」
「!?」
背後に気配。カナが後ろを向いたと同時だった。
「!!!?」
キスされた。その怪物は無理やりにカナの両手を押さえ込み、口をカナの口に押し付ける。
「んっ……ぐっ!?」
違和感にすぐ気付いたのは亮。カナの体から力が抜けて怪物の力が上がっている。さっきのことを考えると、間違いない。
「『翼激』!」
「おっと」
刃を抱えたまま亮はカナ達に急接近。カナと怪物を引き離した。
「ゲホッ、ゲホッ!」
「カナさん、大丈夫!?」
顔色が悪い。体から力が抜けて燈気も安定していない。これは間違いなく、今のキスが原因。
「皆気をつけて! キスされたら力を奪われる!」
「……ふーん、すぐに気付くなんて、やるね。本物」
それでも唇を拭き、怪物は不敵な笑みを崩さない。
「……あなたは一体なんなの? 私、なの?」
「もう違うよ。あなたみたいな下等生物とは違う。私は……そうね」
少し悩んだあと、ニヤリと口元を歪ませて、
「……私は今から『ノワール』よ。よろしくね」
『怪物』ノワールは、嬉しそうに微笑んだのだった。
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