第13話 わたし

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「あは、あなた達も美味しいかな?」 「何を──」  と、カナはそいつを見失う。一体どこに── 「じゃあ、イタダキマス」 「!?」  背後に気配。カナが後ろを向いたと同時だった。 「!!!?」  キスされた。その怪物は無理やりにカナの両手を押さえ込み、口をカナの口に押し付ける。 「んっ……ぐっ!?」  違和感にすぐ気付いたのは亮。カナの体から力が抜けて怪物の力が上がっている。さっきのことを考えると、間違いない。 「『翼激(ガル・ウイング)』!」 「おっと」  刃を抱えたまま亮はカナ達に急接近。カナと怪物を引き離した。 「ゲホッ、ゲホッ!」 「カナさん、大丈夫!?」  顔色が悪い。体から力が抜けて燈気も安定していない。これは間違いなく、今のキスが原因。 「皆気をつけて! キスされたら力を奪われる!」 「……ふーん、すぐに気付くなんて、やるね。本物(オリジナル)」  それでも唇を拭き、怪物は不敵な笑みを崩さない。 「……あなたは一体なんなの? 私、なの?」 「もう違うよ。あなたみたいな下等生物とは違う。私は……そうね」  少し悩んだあと、ニヤリと口元を歪ませて、 「……私は今から『ノワール』よ。よろしくね」  『怪物』ノワールは、嬉しそうに微笑んだのだった。
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