最終話 そして、俺達は

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          ✩ 「……サンキューな、蓮。ここまで付き合ってくれてさ」 「……別に。大丈夫」  その帰り道。刃と蓮は2人で雪の降る道を並んで歩いていた。  途中にあった公園に入り、街灯の下まで来て、刃は足を止める。 「……蓮。あの日の答えを、お前にしなきゃいけない」 「……うん」  まっすぐ向き合う。刃にとって、初めて真正面から『好き』と伝えてくれた女の子。 「えっとな……蓮。俺は……」 「……刃」 「な、なんだ?」 「……光、大したことなくて、良かったね」 「お、おう、そうだな」 「……最初から、刃の中には光がいるんだよね。それこそ、ずっと昔から」 「……」 「……刃の答え、聞かせて」  白い息が舞い、彼女の瞳が真っ直ぐ刃を見据える。誰もいない。2人きりだ。  泣いているんだろうか。彼女の瞳は街灯に照らされて輝いていて、目元をうまく見ることは出来ない。 「俺は……俺は……」  彼女のためにも、しっかり終わらせなきゃいけない。この後に言う亮にも、しっかり言わなきゃいけない。  そして何より、光に言わなきゃいけない。この覚悟を。この思いを。  刃は意を決して、蓮に思いを告げた。 「俺は……大門寺光が好きだ! だから、蓮。お前の気持ちには、応えられない!」  頭を下げて精一杯の誠意を見せる。 「……そっか」  泣いているんだろうか。刃が顔を上げて蓮を見ると、 「れ、蓮?」  優しく、微笑んでいた。最初からあまり感情を出さなかった蓮が、笑っている。 「……わかってたよ。そう言うだろうなって」 「……ごめん」 「ううん。それは、これから私が言うセリフ」 「……え?」  と、蓮の笑顔が消える。その瞳は真剣に刃を見据えていて、 「……刃。もう1つ、話があるの」 「……もう、1つ?」 「……そう、すごく、大事な話が」  蓮が刃にそう語り出し、その話が終わった頃には…… 「じゃあ、刃。これから、恋人として(・・・・・)、よろしくね」  火野刃と東蓮は、恋人になった。 ~I’tem 3 [完]~  
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