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「「蓮のことだろ(やろ)?」」
「ぶっ!」
相談に入る前に本題を出されて思わず刃は飲みかけたお茶を吹き出した。
ここは近所にあるファミレス店。ドリンクバーを頼めば長居できるため、ここで勉強したりする人も多い。
現在は注文を終えてドリンクバーからそれぞれ飲み物をとってきて席に座り、飲み物を一口運んだ後の2人の第一声がそれだった。
「そりゃ、このタイミングで相談と言ったらそれしか思い付かないからな」
そう言いながら刃の相談相手の1人である水仙流斗は持ってきたブラックコーヒーをゆっくりと口に運ぶ。
その所作すら美しく、イケメンなのも相まって周りにいる多くの女性の視線を集めている。
「せやな。あれにはさすがのワイもビックリしたわ! アハハハハ!」
それに対してもう1人の相談相手、風間翔矢は持ってきたジュースを一気に飲み干してさっさとおかわりへ。流斗とは対極ながらも、その甘いフェイスと無邪気な笑顔で多くの女性の視線を集める。
そう、このモテが今の刃には非常に必要なのだ。
「……でも刃。相談と言ってもお前は何を相談したいんだ? 蓮のことはお前自身が決着をつける以外にないぞ」
「せやで。ワイらに何を聞きたいんや? 言うてもワイはそういう関係ようわからんから、ちゃんとしたアドバイス期待されても困るで?」
「そ、それは……実は自分でもどうすればいいのかよくわからないんだ。だから相談しようと……」
「……どうしたらいいかわからない、か。なら聞くが、お前は蓮と付き合おうと思ってるのか?」
「……えっと」
そこで刃は言葉がつまる。別に蓮が嫌いな訳じゃない。むしろ可愛いし積極的に来てくれるし素敵な女の子だとは思ってる。
でも、付き合おうと思ってるかと言われると難しい。でも、このつっかえが何が刃にもよくわかっていないのだ。
「……普通はあんな可愛い子に告白されたら1発でOKを出すな。スタイルも良いし断る理由がない。しかしお前は迷ってる。それはつまり、刃にはあんまり乗り気な話じゃない、ということだ」
「……」
流斗の言葉に反論できない。思うところはあるのだから実際にそうなんだろう。
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