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一緒に居たのはたった一週間だった。でもこの半年の間、あの日々は薄れるどころか心の中に焼き付いていて。
嘉は確かめるように崎守の指に自分の指を絡めた。今こうして、ようやくまた繋がった。
「もう逃がしてあげられませんけど」
「すっげー台詞」
嘉は思わず笑ってしまう。
「待っててくれますか?」
「それは無理」
ぴたりと動きを止めた崎守の顔を、真っ直ぐに見つめる。
「……待てないよ」
嘉は気持ちを込めてそう言った。待てる訳ない。だって半年も待ったんだ。
意味が伝わったのか、崎守は目を眇めて嘉を見つめる。たったそれだけで、嘉の躰は熱く疼いた。「帰りましょう」その崎守の言葉に、嘉は黙って頷いた。
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