heads or tails?

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 三年の学年競技は、クラス対抗リレー、ムカデ競争、大縄、男子は旗立て。  よほどの理由がない限り強制参加。  ちなみにオレは、選抜競技はひとつも出てない。  クラス内で足の速さは中間より速いってくらいで、走りに自信があるわけでもないし。まあ帰宅部の脚力なんてこんなもんだ。  一方、同じ帰宅部のはずの支倉は元陸上部と一、二位を争うタイムらしいのだから世の中いろいろ不公平だと思う。  これだからデキスギくんは。    体育の時間、そして現在、放課後の時間にリレーのバトンパスの練習や応援合戦の練習などが行われ、広いグラウンドにはたくさんの生徒がいた。  これも強制参加(葉山に頼まれたら断れなかった)らしく、オレもまじめに参加中。  軽く流すように走って、オレの次に走る女子へバトンパスする。  終わり、かと思いきや、納得いかない顔のまま女が引き返してきた。 「ごめん、スタート出遅れた。もう一回いい?」 「……いいけど」 「ありがとう!」  ふと、怖がられなくなったな、と実感する。  周囲の着実な変化に気付いている。  前なら早く帰りたいと思っていた放課後の時間だけど、だらだらゆるゆるとしたこの練習風景が、嫌いじゃない。 「バトンパス一旦辞めて、今から応援合戦の練習な!」  グラウンドでも大きくこだまする葉山の声を号令に、青団の三年が一ヶ所に寄り集まる。  応援の曲は、夏休み中に運動部の女子らが考えていたものを採用したそうな。  アニソンや今年流行ったJポップの替え歌に、簡単な振りをつけて。  三年幹部は男女共に学ラン着用らしい。暑い中可哀想に。  帰宅後、無心で青のビニールテープを裂いてポンポンを作る自分の姿が、なんだか無性に可笑しくて。  あっという間に、中学最後の体育大会が明日に迫っていた。  
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