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島原などでは、遊女たちは比較的自由に門の外へ出られたという。露梅たちがお座敷に出るのでは無しに、客との外出等に町を行き来する日には、
普段の必要以上に長い裾は、あらかじめ帯下に折り込んでしまうこの方法を考案し、始めたのかもしれない。
(これってじゃあ、この時代の京都の、最先端のファッションてことだよね)
しかし冬乃がこの方法で裾を持ち上げていて尚、そして、町娘たちは扱きで持ち上げていて尚、それでも手で支えているように、
当たり前に『粋』とされる裾の長さは、やはり手を離せば引きずってしまう長さであることには変わりなく。
冬乃がまた、見た目かまわず早く移動しなくてはならないような時には、この扱きは大いに助かるに違いない。
(今までみたく帯にさらに無理やり挟むより、ずっとしっかり固定できそう)
「有難うございます、どうか御礼をお伝えいただけますか」
冬乃の礼に、安藤が微笑む。
「承知した」
「今度はその方もご一緒に、また甘味屋さんに行きたいです」
まだ見ぬ色っぽい未亡人を想像して、冬乃もにっこりと微笑んだ。安藤が、照れたように頷いた。
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