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いったい、何度この不安に駆られなくてはならないのか。
(まだ私、沖田様に何もしてあげれてない)
部屋の戸を開けて母が入ってきた。
再び横になっている冬乃を見ると、黙ってサイドテーブルへ盆を置いた。
「あ、・・の」
出ていく母へ、冬乃は起き上がりながら声を追わせた。
「・・ありがとう」
「どういたしまして」
振り返らずに返した母は、部屋を出て戸を閉めた。
母の持ってきた野菜粥を食べながら、冬乃は耳を澄ます。
今日は義父の気配がない。夜勤か何かだろう。
ほっとしながら、冬乃は携帯を手に取った。
千秋と真弓へ、『心配かけてごめん。いろいろありがとう。あした会える?』とメールを打ち。
『もちろん』『もう大丈夫なの』彼女達からはすぐに返事が来た。
もう一度幕末へ戻れるのか、激しい不安と焦燥と、恋しさに、そんなあらゆる感情に圧し潰されそうになりながらも、
一方で、どうしても彼女達に会って話をしておきたかった。
これ以上、また同じようなことが起こって、心配ばかり掛けるわけにいかない。
もっとも、どうやったら戻れるのかも、そもそも分からないのだが。
(今夜は、眠れるのかな・・)
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