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また睡眠薬に手が出そうになる衝動を、咄嗟に抑え込む。
(いま、何か考えてたって堂々巡りでしかない)
向こうへ戻れないかもしれない恐怖に、のみこまれるのがオチだろう。
なにも考えないように努めるしかない。
(長い夜になりそう・・・)
エアコンで冷えてきた室内に、ぶるりと冬乃は身震いし。リモコンに再び手を伸ばした。
結局、ほとんど浅い睡眠で、起きたり寝たりを繰り返して、げっそりと青ざめた顔で冬乃は、待ち合わせの時間に合わせて起き上がった。
彼女達に会えると思うと、それでも元気が出る。
約束していてよかったと。冬乃は着替えながら、快晴の外を眺めた。このまま一人で悩んで籠っていれば発狂しかねなかった気すらして。
「冬乃・・!」
「もう大丈夫なんだよね?ほんとに」
千秋たちが駆け寄ってきて、冬乃が目の下のクマをメイクでも隠しきれていないさまに、覗き込んで心配そうな顔を浮かべた。
「うん。本当に有難う。いろいろごめんね」
よく使うカフェに三人、足を向けながら、冬乃は二人を横に向いた。
「それとね、たぶん、疲労とかじゃないんだ」
「どうしても伝えておきたかった。私さ、あれからまた、・・」
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