9820人が本棚に入れています
本棚に追加
交差点に差し掛かり、立ち止まる。
千秋がくるんと巻いた髪を揺らして、冬乃をもう一度覗き込んだ。
「沖田さん、でしょ?」
驚いたのは冬乃のほうだった。
「冬乃が、真弓きて急に倒れた時、『よかった、沖田様にまた逢える』、って、はっきり言ったんだよね」
(え・・)
「てか、大変だったんだからぁ着せるのォ」
急に思い出したのか頬を膨らませてみせる千秋に、ゴメンと返す冬乃の横で、
「冬乃は沖田さんに夢で逢えてるんだって、千秋からそれ聞いて思ったけどさ。でも、そーゆーコトなのか、」
真弓が、青になった交差点に一番乗りで歩み出しながら続ける。
「それとも冬乃が話してたように、ほんとにタイムスリップとかしてるのかは、・・わかんないけどさ」
でも、良かったね
と真弓が、にっと微笑んで。
「また逢ってきたんでしょ?」
(真弓・・)
「うん」
冬乃が頷くのを確認し、真弓と千秋が視線を合わせ、にこにこと冬乃を向いた。
「詳しく聞かせてもらおっか」
昼間のカフェの喧噪の中。
冷房の効きすぎた店内で、見越して持ってきておいた上着を着込んで三人はテーブルを囲んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!