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「マジなんか・・ほんとに逢ってきたみたいにリアルじゃね・・?」
初めは、冬乃を気遣うがためにタイムスリップも視野に入れているような様子を、あえて醸してくれていた真弓だったが、
冬乃の懸命な体験談に、段々と目を見開いてゆき。
「冬乃よかったね!!」
千秋にいたっては、もう信じていた。
「や、でも、どーなってんだろ、」
真弓はまだ唸っている。
「意識だけ向こうに行ってるって・・?」
「うん、・・わけわかんないけど、たぶん・・」
「いーじゃん、なんだってぇ」
逢えてるんだから。
千秋が、難しいことを考えて悩んでいる目の前の二人に、小首を傾げてみせる。
「もんだいはぁ、そっちじゃないって」
「え」
「ん」
千秋の指摘に、冬乃も真弓も顔を上げた。
「逢えてるってコトはわかったよ?でもぉ、どうやってまた逢えるの?」
そう、そうなんだよね。
冬乃が頷く。
(・・でも)
彼女達に話す過程で、これまでの体験を改めてなぞってゆくうちに冬乃の内には、何故かまた幕末へ戻れるような予感が湧いていた。
(まるで、)
やり残したことがある。今やそんな想いに駆られているせいなのか。
(使命のように)
だが、一方で同じく芽生えている一抹の疑念。
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