9819人が本棚に入れています
本棚に追加
「だ・・から、そうと決まったわけじゃ、いやもぅそうなのかな、そうなのかも」
もはや観念して口走る冬乃に、
「あ、てか。白衣のイケメンから連絡先、冬乃もらってるっけ」
千秋が思い出して声を上げる。
「昨日冬乃のお母さんがぁ、今度御礼させますってイケメンに言ってたけど、冬乃、連絡先もらってるのかな、て気になってたんだよね」
たしかに母が昨日、次に逢えたら御礼をしろと言っていたが、連絡先を知らない。
もらったはずのメモは、あれから考えてみたがおそらく、冬乃が再度倒れた騒ぎで医務室に置き忘れているのだろう。
「連絡先のメモは渡されてたはずなんだけど、どっか行っちゃったみたい」
(どころか、名前も)
「あの人って、名前なんていうの?」
「「さあ」」
千秋と真弓が同時に首を振った。
「たしかに御礼しなきゃなのに・・」
「・・・」
三人は困った顔になって黙り込んだ。
千秋達と別れた後。冬乃は道場へ向かった。
部屋へ戻っても悶々と苦しいだけだ。どうすれば幕末へ戻れるのか判らないで悩んでいても仕方ないと。こういうときは、無心に竹刀を振っているのが一番いい。
最初のコメントを投稿しよう!