恋華繚乱

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 とはいえ、いつかの時と違って、体の左右を護れるものがなく。  (今回、受け止めてる時間は無い・・)    一方が降り下ろしてきた刀を受けていては、隣からもう一方の刀がすぐに降ってきてしまうだろう。    (なにより、)    脇差の短い間合いと、男達の大刀の長い間合い。  (この不利な間合いを)    どう制すべきか。  冬乃はじりじりと後退し。    (そのぶん、こいつらより早く動くしかない)      動けるか。  冬乃は、なお絡まってくる裾を脚に感じながら、  脇差でさえ、ずしりと重たい真剣を握り締め、首筋を伝う汗を感じた。      
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