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「素人が、脇差で俺達相手にどうするつもりなんだ?」
歪んだ嘲笑を面に、先ほど冬乃に鼻を打たれたあげく脇差を奪われた男が、忌々しげに吐き捨てる。
「諦めてその脇差をこっちへ渡せや。おとなしくさえしてれば、そんなにいたぶらずに可愛がってやるぞ」
もうひとりの男が、あいかわらず下品な笑いを響かせ。
冬乃は、黙って数歩さらに下がりながら。
男達の動きを待った。
上段から振り下ろされた一瞬の隙をついて瞬時に動く以外に、この不利な状況を制する方法は無いと。
冬乃が仕掛けてこないことを男達は、冬乃が怖がって只々夢中で脇差を構えているだけと思っているのだろう、
あまり硬直状態で誰かに見られても困ると、まもなく男達は、視線を交わして示し合わせると一気に冬乃へ近寄ってきた。
冬乃は。
さらに数歩、後退り、
男達がまず最初に冬乃の得物を叩き落すべく、脇差を狙って振り下ろしてくることも、読んで。
はたして、僅かな時間差をもって男達の刀は、冬乃の握る脇差へと次々に振り下ろされた。
瞬間、
先に振り下ろしきった男の側へと、冬乃は飛び込み、
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