恋華繚乱

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 今すぐ風呂に入りたい想いでいっぱいなものの、今はただ着替えて頭を拭いて待つしかない。      「冬乃さん」    よろよろと立ち上がって縁側に這い上がった冬乃の背後で、いつのまに来ていたのか、傘を手に沖田が、冬乃を注意深く見つめており。  冬乃は振り返ったまま、動きを止めた。    「何があったの」    明らかに尋常ではない様子の冬乃に、酷く心配そうな、不安げとすら取れる表情で、沖田が尋ねてきて。    「あ・・、・・」    冬乃の体の芯は、未だ震えていた。    咄嗟の返しも出てこない冬乃に、  ますます訝った沖田が、  「冬乃さん」  抑揚のない声で、促してきて。    「・・・出かけた帰りに、・・雨に降られてしまったので・・。」    漸う絞り出した冬乃の返事に、    だが、沖田が微かに眉を顰めた。  「それだけじゃ、ないよね」    「袖に血が付いてる」  沖田の言葉に、冬乃は、はっと袖を見やった。    最初の男の腕を斬りつけた時に、付いてしまったのだろう。    「・・道で暴漢に襲われそうになりました」  冬乃は正直に告げた。    「男の差していた脇差を奪って・・斬りつけて逃げてきました」      冬乃の目を見つめていた沖田が、ふっと息をついた。    「無事、なんだね・・?」      「え」     
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