9729人が本棚に入れています
本棚に追加
/1404ページ
(本当に何から何まで有難うございます・・)
温まった体で横に並びながら、洗い髪を手拭いに包ませ、冬乃は沖田をそっと見上げる。
どことなく険しいその横顔が、冬乃の視線に応えてすぐに冬乃を向いた。
「冬乃さん、貴女を護ってあげられず、怖い想いをさせてごめん」
(え・・?)
その、予想もしていなかった第一声に。
冬乃は驚いて一瞬声も出せずに歩みを止めた。
(なんで沖田様が謝るの)
「・・あの」
「次からは、」
小さく風が唸って。冬乃の持つ傘が揺れた。
「今日のような人通りが無くなる時分には、組まで使いを寄越してほしい」
冬乃に合わせて立ち止まった沖田が、そう言うと冬乃をなお硬い表情のままに見下ろした。
「次は迎えに行く」
(うそ・・・)
「そんなことっ、沖田様に頼めません・・!」
「貴女が頼むのではなく、これは俺からの頼みだ」
どうして
「俺が仕事で組に居ない時も、他の人間が迎えに行けるようにしておく」
どうして、そうまでしてくれるの
「いい?いま約束してほしい」
冬乃は戸惑って沖田を見つめ返した。
「冬乃さん」
促す沖田を。
最初のコメントを投稿しよう!