恋華繚乱

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     先の第一次長州征伐が、近藤達の願いとは裏腹に、竜頭蛇尾に済まされた直後から、  長州内では反幕府勢力が復権し。察知した幕府によって第二次長州征伐への動きが強まる中、    京の情勢は、もはや油断ならず。  近藤は予定していた二度目の東下を今回は断念し、それに伴い、付き従う予定でいた沖田も京に留まることとなった。    土方と斉藤そして伊東が、代わりに出立したその日の午後。    冬乃はハタキを手に、隊士部屋の広間の一角で。  今日も隊士たちに囲まれていた。      「冬乃さんって今、好い人いないってほんと?」  「沖田先生とは何でもないんだよね?」  「許嫁は?」    囲まれるなり矢継ぎ早に浴びせられた質問へ、もはや首をふるしかない冬乃に、    「だったら、次いつ仕事休み?呑みにいこうよ?」  乗り出してくる隊士達。    冬乃はしずしずと頭を下げる。  「すみませんが、この後まだ仕事が詰まっていて・・」      事実、あまりに広くなった屯所に対応しきれず、やってもやっても掃除が終わらないのだ。    茂吉、藤兵衛は勿論のこと、お孝までがあいかわらず新屯所まで来てくれているが、もはやこの人数では仕事が回しきれなくなっている。     
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