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「では何があって夜もお忙しいのですか。・・僕は、貴女が嘘をついているとまでは責めません。ですが、」
きりり。
眼鏡がその顔にかかっていないのが、いっそ残念になる。
「いつも夜まで忙しいと仰るのは、いささか無理があると思いますよ」
「・・・・」
冬乃は観念した。
元々会話時間の短縮のために「休みも忙しい」で通したというのに、これでは本末転倒だ。
「ほんとうは、」
切り出した。
「好きな人がいるんです。その方とでないと、呑みに行きたくないんです」
冬乃の注意深く見守る前で、池田がみるみる目を見開いた。
「そういう事でしたか・・」
(ん)
これなら案外に切り上げてくれそうだと、期待した冬乃に。
「ならば、その方と一本勝負をさせてください」
(・・・・は?)
だが、まさかの返答が。飛んできた。
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